歯の治療を受けるならクスリに注意(1)【骨粗しょう治療薬】外科処置で顎骨壊死の発症リスク
「ビスホスホネートを使用している患者が、抜歯などの外科的な歯科治療を受けると、まれに『顎骨壊死』を発症するケースが報告されています。顎の細胞や組織が死んで骨が腐った状態になり、口腔内細菌の感染によって顎の痛み、腫れ、化膿といった症状が出る病気です。悪化すると、顎の骨が折れたり、皮膚の表面に穴が開いて膿が漏出するケースもあります」
ビスホスホネートを長期使用している患者の外科的な歯科治療を行う場合、以前は「3年以上服用している人は3カ月の休薬の後で処置を行う」とされていた。
「しかし、研究が進んだ結果、現在は『低用量であれば休薬は必要ないのではないか』との見解が主流になっています。原則的に休薬はせず、口腔内の炎症を少なくするために歯石除去や殺菌などの処置を行ったうえで治療の1時間前に抗生剤を服用してもらってから外科的な治療を実施します」
ビスホスホネートなどの骨吸収抑制薬は骨粗しょう症に対して非常に有効な薬で処方されている患者は多く、長く使用している人が歯科治療を受けに来るケースは少なくないという。
該当する人が歯科治療を受ける際は、お薬手帳を持参したり、治療前に使っている薬を歯科医に伝え、指示にきちんと従いたい。