不妊外来から見える治療の現状(1)30代患者が増えた保険適用がプラスに
体外受精を自費で行うと、施設によるが6回で200万~300万円程度。それが保険適用で3割負担、さらに高額療養費制度を使うと数万円で済む場合もあり、費用の捻出が難しい若い人でも治療に取り組めるようになったというわけです。
不妊の原因はさまざまですが、大きく分けると卵子や卵管といった女性側に問題がある場合と、男性の精子に問題がある場合、さらに原因不明の場合があります。
「原因はほぼ男女半々、女性側3割、男性側3割、両方に原因がある場合が3割といったところです。検査で卵子や卵管、精子などに異常が見つからない原因不明の不妊症では、女性の年齢が影響している場合がほとんどです」(大石医師)
不妊治療の成功率は年齢に大きく左右されます。体外受精の保険適用が43歳未満とされているのも、これ以上だと妊娠が難しくなることがはっきりしているからです。
大石医師によると、最近の不妊症の増加には出産年齢の高齢化が大きく影響しているとのことです。
実際、1990年には第1子の平均出産年齢は27歳でしたが、2013年は30.4歳、23年は31歳(令和5年厚生労働省調査)です。