相撲部屋の暴行死事件で注目された「死亡診断書」が持つ大きな意味
これでお分かりのように、病院に来た時は、すでにこと切れていたにもかかわらず、病死となれば、まだ死んでいなかったけど治療したけど死んじゃった、という「うそっぱち」もあったことになるのです。でないと、病死ということでの診断名は死亡診断書に記入できないからです。
遺族に対しては即座に火葬が勧められたそうですが、誰が見ても明らかな全身のキズアトを見た遺族が不審に思い、司法解剖が行われ、暴行死であることが判明しました。
これには全国の医師が忸怩たる思いを抱いたことでしょう。なぜなら、私たち医師が発行している「死亡診断書」の「死因」に書かれた文言の信頼が失われることになったからです。
むかし、患者さんから「父が亡くなったんですが『心不全』って医者が説明したのに、死亡診断書には『肺炎』って書いてあったんですよ。死亡診断書ってテキトウなんですかねぇ……」。
肺炎といえば1996年、日本外国特派員協会で大相撲の八百長を数日後に公表するとしていた元力士と協力者の2人が、愛知県の大学病院で同日に肺炎で死亡したという出来事がありました。