口永良部島で続く噴火は“スーパー南海地震”の不気味な予兆
不気味な予兆だ――。3日午前5時31分ごろ、鹿児島県屋久島町の口永良部島の新岳が噴火した。火砕流が発生し、大きな噴石も飛散した。噴煙は高さ7000メートルに達した。新岳は先月11日、約11カ月ぶりに噴火。2日には火山性地震が223回も観測され、次の噴火が警戒されていた。
立命館大教授の高橋学氏(災害リスクマネジメント)が言う。
■フィリピン海プレートが元気な証拠
「噴火がなかった11カ月間にたまったマグマが、フィリピン海プレートの圧力に押されて噴出しているのです。それだけフィリピン海プレートが元気だということ。口永良部島の噴火は、琉球トラフの動きによるものです」
千葉南西沖からフィリピンまで続くフィリピン海プレートは、ユーラシアプレートの下に沈み込み、グイグイ押している。琉球トラフ(溝)は、この2つのプレートの境界上、九州の西から台湾の北にかけて存在する。
「南海トラフばかりが注目されていますが、琉球トラフも要警戒です。駿河湾(静岡県)から日向灘沖(宮崎県)にかけて存在する南海トラフは、日本列島沖にあるため観測拠点も多く、昔のデータも保存されています。一方、琉球トラフは諸島エリアで観測が乏しい上、古文書も残っていない。データが少ないため、ベールに包まれているのです。しかし、口永良部島の連続噴火が示す通り、現在、琉球トラフは活発に動いている。“南海トラフ”“琉球トラフ”に相模湾から房総半島南東沖にある“相模トラフ”を加えた3つのトラフはどれが大きく揺れてもおかしくない。あるいは、3つのトラフが連動して動く“スーパー南海地震”が近づいている可能性もあります」(高橋学氏)
新型肺炎の感染拡大が続いているが、超巨大地震にも備えが必要だ。