夏樹久視
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夏樹久視作家

1947年東京生まれ。週刊誌アンカー、紀行作家、料理評論家などを経て推理作家に。別名で執筆の多くの作品が話題を呼びTVドラマ化。母親の認知症を機に、65歳でヘルパー2級の資格を取得、約5年間、デイサービスでの就業を経験する。紀行文、料理本、ミステリーなど著書多数。日本推理作家協会員。

「その気がなくて…」ヘルパーの色仕掛けをシャットアウトした男性の賢い対応

公開日: 更新日:

 午前9時45分が、池端史郎さんのお迎え時刻だ。

 その時刻に、僕が運転するワンボックスカーを家の前に止める。添乗員の小池さんが車から降り、玄関のベルを鳴らす。2、3分して池端さんは、男性ホームヘルパーに付き添われて車に乗り込む。

「おはようございます、ゆっくり眠れましたか」「はい、眠れました」「朝ごはんは食べましたか」「どうにか」……。そのほか食欲についてなど健康状態を確認してデイサービス施設に向かう。

 ホームヘルパーとは、ひとりでは日常生活が不自由な高齢者を介助する仕事だ。朝、自宅に訪問して起床させ、着替え、朝食、トイレの世話をしてデイサービスに送り出すのが基本で、それに昼食や夕食の用意、洗濯、部屋の掃除などの時間単位の追加が付くこともある。

 池端さんは87歳、奥さんに先立たれ一人暮らし。結婚して家を出た娘さんは、夫の仕事の関係で海外在住。聞いた話では、池端さんは苦労して働きながら大学に通い、薬剤師の資格を取り、都内に薬局を開業して成功したとか。自宅は70坪、ほかにも何件かの不動産を持つ資産家だとか。

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