30歳以上はだれでも「不整脈」、確実に見つけて治す方法…錣山親方は入退院繰り返した末に他界
元関脇・寺尾の錣山親方(本名・福薗好文)が17日、うっ血性心不全で亡くなった。現役時代はクールな顔立ちながら敵意むき出しの突っ張りで人気を博し、親方になってからは弟子思いの師匠として、元小結・豊真将(現・立田川親方)や現小結・阿炎らを育てた。歴代4位の通算1795回出場を誇る「土俵の鉄人」の命を奪った心臓の病は、中高年ならだれにも起こりうるという。
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錣山親方は3兄弟で、次男の元関脇・逆鉾(享年58)は2019年に膵臓がんで、長男の元十両・鶴嶺山(同60)は20年に急性心不全で亡くなっている。三男の錣山親方の死因も、長男と同じ心臓の病気で、現役時代から心臓がよくなかったともいわれる。
15年には持病の不整脈などで体調を崩し、場所中に勝負審判を休んで、入院した。持病の悪化に拍車をかけたのが18年の日本相撲協会役員改選を巡る動きとされる。
当時の貴乃花親方(元横綱)と組み改革を目指すも、最終的に貴乃花親方と意見が合わずに解散したことのストレスのせいか酒量が増加。不整脈をより悪くさせ、心臓にペースメーカーをつけていたほか、ニトログリセリンを服用していたという報道もある。
「亡くなった錣山親方の病状を巡る報道から見逃せないのはペースメーカーの装着とニトログリセリンの服用です」
こう言うのは、東京都健康長寿医療センターの元副院長・桑島巌氏だ。
この2つから深刻だったと思われる病状が浮かび上がるという。「あくまでも推測ですが」と断った上でこう続ける。
「不整脈は、脈が速くなるタイプ、遅くなるタイプ、そして乱れるタイプに分かれ、そのうち脈が遅くなるタイプのひとつの房室ブロックは心臓の血管が詰まる心筋梗塞の後遺症として発症することがあります。この不整脈で脈が遅くなると、めまいやふらつき、失神などの症状が現れ、最悪の場合、心不全で命を落とすリスクが高い。そのため症状が重いケースはペースメーカーの装着が不可欠になります。一方、ニトログリセリンは狭心症による胸の痛みを抑える薬です。狭心症も心臓の血管の血流障害が原因ですから、ニトログリセリンを手放せなかったということは血流障害も重かったのかもしれません。こうしたことから推察すると錣山親方の心臓はかなり深刻だったと思います」
厚労省の「患者調査」(20年)によると不整脈全体の患者数も狭心症を含む心筋梗塞の患者数も100万人ほどだ。どちらも年齢が上がるほど発症しやすく、それぞれ単独でも、併発することもある。錣山親方の訃報は他人事ではないだろう。