イギリス出身の店主が「有楽町ガード下の名店」の3代目を継いだ経緯と苦労
いい酒場は国境も超える
しかし、その頑張りの甲斐あって、間もなく創業80年目を迎える名店に。お客の大半は外国人観光客が占める。「タラバガニが大人気だけど、原価が高くて……」とアンディさん。嘆きながらもリーズナブルな価格設定は飲み助の懐にはありがたい限りだ。
アタシが行った日は日本人の忘年会客と欧米やアジアの観光客で店内は満席。ホッピー片手にアンディさん自慢の刺し身をつまみに盛り上がっている。ここに国境はない。いい酒場は国境も超える。
GHQの将校がこの辺りを歩いていた時代に店を始めた創業者は、まさかこんな時代になるとは想像もしなかっただろう。
混んできたのでそろそろ引き揚げよう。無駄口をきかず寡黙に動き回るアンディさんの「ありがとうございました!」の声を背に、年末の雑踏に消えるアタシ。
本人の希望で写真を載せられないのは返す返すも残念だが、スキンヘッドで前掛けを着けた店主の格好は堂に入ったもの。2軒目を目指すアタシの脳裏に浮んだアンディさんの姿が、居酒屋兆治の健さんにダブっていたと言ったらちょっとホメ過ぎかな。
(藤井優)
○新日の基 千代田区有楽町2-4-4