「気をつけ!」「敬礼!」ドアマン警備員のバイト研修で軍隊式訓練の驚愕
この日の研修は午前9時から午後5時まで昼休みの1時間をはさんでみっちり7時間。警備員の心得などを聴講したのだが、意外なことに「人権とは何か」という法律論にも触れた。せっかくの法律の講義なので興味深く聞き、途中で何度も質問した。そのたびに講義がストップするため、周囲の3人が迷惑そうにこちらを見る。
面白かったのは警備業法のくだりだ。加藤氏が長い文章を読み、「警備業法第49条にもあるように」と言った。そこで「第49条とはどんな条項ですか?」と聞くと、彼は「ちょっと待ってください」と言い、慌てて手元の資料をめくり始めた。ところが、なかなか当該の説明ページが見つからない。焦った加藤氏がページをめくりながら言った。
「少々お待ちを。なにしろ長年研修をやってますが質問を受けたのは今日が初めてなもので……」
そのあとは私が質問をするたびに加藤氏が「ご理解いただけますか?」と聞き、「少し納得がいきませんが、時間がないので次にいきましょう」「はい」と、こちらが主導権を握る格好になった。
「気をつけ」「敬礼」についてこんな儀式が必要なのかを加藤氏に聞いたが、「けじめは大切」と譲らない。