ラブホから「体験」労働の誘い…清掃時に床に落ちたコンドームは素手でつかんだゴミ袋に
ラブホ清掃編(3)
「一度体験しませんか」──。求人サイトを通じて、都内のラブホテルからこんなメッセージを受け取ったのは2023年7月のことだった。それまで数軒のホテルのバイト面接を受けてはいたが、実際に働いてほしいという要請を受けたのは初めて。何か持参するものはないかと質問メッセージを送ったら、「サンダルを持ってきてください」とのこと。どんな仕事なのか。興味津々で出かけた。
「面接及び体験にまいりました」とフロント嬢に告げると、すぐに店長の山田氏(仮名)が奥から現れた。
「わざわざすみません。場所はすぐに分かりましたか?」と気を使ってくれる。
事務所が狭いということで、1階の客室に入って面談。私がうっかりベッドの上にカバンを置くと、「カバーをきれいにセットしたばかりなので、カバンはご遠慮ください」と注意を受けた。ベッドメーキングを学ぶ体験入店に来ながら無神経なことをしたと反省させられた。
聞けばこのホテルも人手不足に悩んでいるとか。時給1100円とそれほど待遇が良くないため応募者が少ない。おまけに70代の清掃スタッフ(男性)がコロナにかかって休んでいるため、すぐにでも人を補充したいとのこと。現在は女性社員のご主人が暇を見つけて清掃を手伝っているそうだ。話を聞いているうちに緊急事態に直面しているという印象を受けた。山田氏が低姿勢で迎えてくれたのは、そうした背景があるからだ。