「不登校は心の病です」日本初の不登校専門クリニック院長がズバリ! 治療法はあるのか?
怠け心も程度が強ければ症状と捉えるべき
【Q】治療を受ければ不登校は治る?
【A】軽いうつ病や不安障害なら投薬治療ですぐに症状が解決する場合もありますが、特に発達障害がベースにある場合は、ストレス耐性そのものが非常に低く、一つの病気がよくなってもすぐに別の病気を発症することも多く、すぐに治すのは難しいです。ただし薬によって症状を安定させることは可能で、私が診察した130人ほとんどが以前より改善。そのうち10%程度は通常通り登校できています。
【Q】怠け心などが原因とする大人もいるが?
【A】もちろん、いじめやその他の人間関係が原因の不登校も多くあると思います。しかしそれらの問題が解決ないし軽減されても、また別の理由を出してきて登校できないのなら、精神疾患が潜んでいる可能性が高いです。
また、億劫であることや面倒くさいこと(=怠け心)も程度が強ければ症状と捉えるべきです。例えば、それらをきたす疾患としてうつ病とADHD(注意欠如・多動症)が挙げられます。うつ病の児童が億劫や面倒くささを訴えることはよくありますし、特に不注意型のADHDの子は病的な面倒くささを抱えていることが多く、お風呂や歯磨き、極端な例としては箸を持つのも嫌がることがあります。
そういう子も適切に病態を見分けて治療してあげると億劫さや面倒さがとれ、学校に行けることが多いのですが、ほとんどの親は自分の子を病気だとは思いたくありませんし、病気が原因だと思いもよりません。実は私の娘も不登校児ですが、妻に精神疾患が原因だと理解してもらうのは非常に骨が折れました。医師の家族ですらそうなのですから、一般の家庭では「怠けているからだ」と子どもを責めたり、「育て方が悪い」と夫婦喧嘩になったりしてもおかしくありません。そのせいで家庭崩壊したケースも多く見てきました。そんな不幸を招かないためにも、医師が「お子さんは病気かもしれない」と寄り添い、良い意味でレッテルを貼ってあげることが大切なのです。