猫の「肛門腺出血」は手術で縫合しない方がよく治るケースも
ワンちゃんの場合、受診やトリミングなどでの肛門チェックで肛門腺を出してくれることは珍しくありません。ネコちゃんの飼い主さんだと、そのことを知らず、「お尻から出血して」と驚いて来られるケースがよくみられます。
肛門腺の排出は肛門腺しぼりといい、肛門に差し込んだ指と外の指で肛門腺をつまんで絞り出すように行いますが、化膿して袋が破れて皮下膿瘍になると、手術です。壊死したところをきれいにして場合によっては肛門嚢を切除します。
肛門腺組織を完全に除去できれば縫合し、7~10日で抜糸します。それで治療は終わりですが、まれに半年から1年ほどで同じところの皮膚が裂けることも。少しでも肛門腺の組織が残っていると、そこから分泌液が出てきても、袋がないためためられず再び裂けてしまうのです。
■縫合がポイント
ポイントは縫合にあります。実は、肛門腺がある程度袋状に残せるときは、縫合しない方がよく治るケースがあります。化膿して腐敗した組織の除去と消毒を繰り返しながら、患部の皮膚が再生されるのをサポートする治療です。裂けた部分が小さければ、そこに細い管を通して消毒液を還流させることで膿を洗い流すことでも、皮膚の再生が期待できます。