武蔵小杉「炭火焼鳥くろちゃん」は高齢のお客さんを人とつなげてくれる店
朝10時開店、コミュニケーションの場になる居酒屋
震度5はヤバそうな3階建てビルの1階。上は系列の「居酒屋くろ兵衛」、地下には「山形牛焼肉くろべこ」がある。今回は朝10時から23時半まで通しで営業しているくろちゃんをのぞいてみた。
15時過ぎなのに店は賑わっている。5人掛けのカウンターに陣取り、とりあえず酎ハイ(450円)と、もつ焼き5本盛り合わせ(550円=写真右)を。後ろのテーブルでは70過ぎであろう先輩方が4人で焼酎ボトルを囲んでいる。聞き耳を立てずとも自然に入ってくる音量で、赤いキャップの先輩が日産スカイラインGT-Rの凄さをしゃべり倒している。悲しいかな誰も聞いていない。奥のテーブルには若いカップルが2組。その隣にはこの店に場違い(失礼)なタワマン族らしきママ友風が3人。
■街が新しくなるのは大歓迎、ママ友風のお客さんも
40年ほど前に山形出身の親父さんが故郷の食材で焼き肉屋を創業。続けて居酒屋、焼き鳥と広げていった。現在は息子の黒木さんがお兄さんと兄弟で切り盛りしている。昔から10時開店?
「そう。夜勤明けの工場勤務の人や、消防署や警察関係者も仕事終わりに寄ってくれていましたから」
タワマンができて変わった?
「おしゃれなママ友風のグループが来るようになりましたね。きっとこういう店が珍しいんでしょう(笑)」
赤いキャップの先輩もそうだが、リタイア世代のほとんどはひとりで来て他のおひとりさんと友達になり、この店に集まる。
「高齢のお客さんたちは人と話したがっているんですよ。なので僕たち店の者がつなげてあげる。効率いいけどタッチパネルで注文するみたいなことは、うちではやらない。だってコミュニケーションがなくなるでしょ」
なるほど。
「街が新しくなるのは大歓迎。だってうちの存在が際立つから」
エグザイルのメンバーを思わせるイケメンオーナーがしたたかな笑顔を見せた。
タワマンママ友族とアナログじいさんがこの店で合コンする日が遠くないかも。そのときは、ぜひ参加させてくださいね。
(藤井優)
○炭火焼鳥くろちゃん
川崎市中原区小杉町3-430-1 千里ビル1階