首都直下地震で「閉じ込め」が起きてしまったら…5つのケースでの対処法・取るべき行動
タワマンでは「備蓄は最低3日分、できれば1週間」が正しい対策
③タワーマンションに閉じ込められたら
区民の8割超が集合住宅に住み、10年以上前でもそのうち5割が11階建て以上という江東区。高層住宅震災対応マニュアルでは、「特に高層階にお住まいの方は救援救護活動が制限されて困難な被災生活を余儀なくされます」としている。救助活動が本格的に行われるのは地震発生から3日後だ。
エレベーターが停止してしまえば、広い意味での閉じ込めになる。
「震災向けの備蓄は3日分とされていますが、『最低3日分、できれば1週間』というのが正しい対策です。タワマンでは特に徹底しましょう。非常用電源でエレベーターが稼働するマンションもありますが、余震によって停止する可能性もあり、使用するのは控えたい。命にかかわる緊急事態以外は避けた方がいいでしょう」(高荷氏)
江東区では湾岸のWコンフォートタワーズなどの住人には「できれば7日」どころか、「7日間以上自宅で過ごす準備」を呼びかけている。
④高速道路を走行中に閉じ込められたら
高速道路では震度5弱以上、首都高では同5強以上で入り口が閉鎖され通行止めになる。ちなみに、一般道の通行止めは震度6弱以上だ。
ある調査によると、運転中震度5の揺れを感知しても、8割のドライバーは速度を落として走行を続けていたという。渋滞につかまるのが嫌といった心理が働くようだ。ただし、首都直下地震のような激しい揺れに見舞われた場合は、道路の損傷や落下物の危険性もあって走行はオススメできない。
「高速道路を走行中に地震が発生した場合は、『ゆっくりと減速』し、『あわてずに左側の路肩に停車してエンジンを止めて』ください。けっして急ブレーキをかけないでください」(NEXCO東日本)
NEXCO東日本ではすぐにパトロールカーが巡回する仕組みになっているので、その指示に従う。また、高速道路が危険な状態のときは、ドアはロックせず、キーをつけたままにして安全な場所に避難。ドアがロックされたままの車は、NEXCOの社員が移動させるために窓を割ってドアを開け、サイドブレーキを解除してトラクターで牽引することになる。
⑤トンネル内で地震に遭遇してしまったらどうすべきか
トンネルは地中につくられているため、一般に地震に対しては安全な場所となる。もっとも、坑口付近(出入り口付近)は崩落の危険性があるため、土砂による閉じ込めの可能性が出てくる。さらに、能登半島地震では国道249号の覆工コンクリートが崩落した事例もあった。
「トンネルを走行中に揺れを感じたら、ゆっくりと速度を落とします。出口付近であれば、揺れの強さにもよりますが、速やかにトンネルから出た方がよいとされます。天井が崩落する可能性があるため、出口まで距離がある場合は非常口を使って脱出しましょう」(自動車ライター)
時に、真っ暗な場所にひとり取り残されるかもしれない閉じ込め。それでもパニックになることだけは避けたい。