神戸元町の鉄板焼き「月や」では家族連れも神戸マダムも外国人も箸でバクバク
第36回 元町(神戸市中央区)
コーラスグループ「フォレスタ」のコンサートツアー春の陣もいよいよ大詰め。ほぼ満席の神戸公演を翌日に控え、スタミナをつけるべく地元のイベンターさん行きつけの元町の鉄板焼き店に繰り出した。
アタシと社長のF氏はうまい肴とうまい酒がちょこっとあれば上機嫌というタイプ。だから正直言うと満載の肉と粉ものはキビシイ。ま、年齢的にもそうでしょ。ここの読者ならお分かりいただけるはず。実はこの店に麦焼酎の銘酒「兼八」があると聞いて押しかけたのである。
「月や」は元町駅から5分、三宮の喧騒を忘れさせる閑静なエリアにある。鉄板焼きといえば、東京出身の我々世代は子供の頃に食べたお好み焼きともんじゃ焼きにとどめを刺す。大人になってからは目の前で霜降りステーキを焼いてくれる高級店。銀座のお姉さんと同伴するような店。アワビを食われて青くなったこともあります。
そんな与太話はさておき、この月やは店主の望月英二さん(写真左)が2017年にオープン、カジュアルだけど厳選された食材にひねりを加えたうまい料理を出す店として地元で評判のお店。鉄板を囲んで8人ほどのカウンターに、4人テーブルが3つ。今夜は我々以外に男女のグループ4人と仕事帰りの管理職風3人組、そしてカウンターには小学生くらいの2人姉妹を連れた4人家族。奥には年配の女性2人。満席です。男女を問わずあらゆる世代に親しまれている。それぞれの客の腹と懐具合に対応できるのが月やのいいところ。
我々はハートランドの生中(550円)からスタート。但馬牛のタタキ(1500円~)と生ガキ(1200円~)。どちらも絶品。特にタタキは脂だらけの霜降りと違って赤身のうまさが際立っている。ここでアタシとF氏は兼八のロック(680円)に切り替える。牛タタキと兼八。これ以上の幸せがあろうか。ここにシーフードの盛り合わせ(1200円~)、和牛ホルモン焼き(900円~)、黒豚ステーキ(1800円)と来た。重量級だが、付け合わせの野菜が香ばしくソテーされていてこれまた肉によく合う。周りに目をやれば平成、昭和関係なく老若男女が情熱的に飲みかつ食っている。肉は人間の野性を蘇らせる。
やるねえ神戸マダム
カウンターでは真剣なまなざしで肉を焼く望月さん。焼いているのは神戸牛のシャトーブリアン。火入れを間違えたら大ごとだ。頼んだのは奥のご婦人2人組だ。やるねえ神戸マダム。
「ネット情報を見ているのか、外国人のお客さまも多くなりましたね。なんの違和感もなく箸で召し上がっていかれます」
神戸牛が人気?
「やはり知名度がありますからね」
望月さんがにこやかに話してくれた。なんたってNBAのスーパースター、コービー・ブライアントの名前の由来だもの。
さて、締めは豚玉(780円)と豚そば(780円)。それぞれ一口食って、ゴメン! もう液体以外は入らない。ところで、ロッキー青木がマンハッタンにベニハナ1号店を出したのが1964年。欧米の観光客にとって一番身近な日本食は鉄板焼きかもしれない。満腹の還暦男はふとそんなことを思ったのでした。
(藤井優)
○鉄板ダイニング「月や」神戸市中央区下山手通4-13-5 三木ビル1階