近視がよくなるヒントは「外遊び」にあり 台湾での取り込み効果が世界で広がる
遠くが見えにくい近視は人種差があり、アジア人に多い。九州で行われている久山町疫学研究によると、40歳以上の近視(裸眼視力0.8未満)の割合は2017年で45.8%とほぼ2人に1人。12年前に比べて約8ポイント増だ。そんなデータに触れると、近視は人種差や加齢の影響を伴った身体的な特徴と思うかもしれないが、病気のひとつ。実はいま子供が危ないという。
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ロート製薬は「こどもの目の日」である6月10日を前に、子供の目に関する調査を実施。小学生の子供を持つ親1000人にインターネットで質問した結果を「こどもの目の白書2024」にまとめて公表した。それによると、裸眼視力が1.0未満の小学生は36.7%だった。
裸眼視力1.0未満を対象に生活への影響を尋ねると6割は「授業で黒板が見えにくい」などと感じると回答する一方、55%の親は視力が悪化する子供の生活への影響に気づいていなかった。
文科省は「学校保健統計」で幼稚園児から高校生までの視力を調査。昨年11月に発表された最新の22年版によると、裸眼視力1.0未満の割合は幼稚園児で約25.3%で、小学生はロート製薬の調査結果と同程度の約38.8%だ。年齢が上がると近視の割合はさらに上昇。中学生は約62.4%で、高校生は約72.0%に上る。
前述した17年の久山町研究では、40歳以上の近視率はほぼ5割だった。それがいまや高校生で7割だから、今後、圧倒的大多数の成人が近視ということになる。
都市部はもっと深刻な状況だ。
慶大医学部眼科学の坪田一男教授(当時)らのグループは19年、都内の小中学生約1400人を対象に近視の有病率を調査。その結果、小学生は76.5%、中学生は94.9%といずれも文科省の全国調査より上回っていたのだ。
「昨年公表された『学校保健統計』で示された数値のうち、小中高生の近視割合はいずれも過去最高を更新しています。眼科医として、とてもショッキングなデータです。なぜなら、近視は治療が必要な病気で、子供のうちに適切な治療を受ければ近視を予防したり、進行を食い止めたりできますから。ところが、日本では視力が、走る速さや筋力の強さなどと同じように身体的な特徴という認識で、治療が必要な病気という視点が抜けている人が少なくないのが残念でなりません」
こう言うのは、窪田製薬ホールディングスCEOの窪田良氏だ。慶大医学部を卒業すると、眼科医として患者の診察や治療を行う一方、研究を重ねて、中途失明を起こす緑内障の原因遺伝子の1つミオシリンを発見。米国での研究生活を経て、いまは15年に設立した同社の代表として視力維持や回復を目指す医薬品や医療機器の研究・開発を行っている。