「セカンドオピニオンの注意点」複数の病院を天秤にかけて受診の“いいとこ取り”はNG
病気の治療や症状などに疑問があれば、セカンドオピニオンを求めることがあると思います。ペットでも珍しくありません。しかし、その行動の取り方によっては、あまりよい印象を持たれないことがあります。
あるワンちゃんは10年ほど前にヘルニアの治療とリハビリでしばらく通院していましたが、リハビリの途中で心臓の疲れから弁膜症を発症。飼い主さんは別のかかりつけ医の紹介で当院のリハビリに期待されていたので役に立てず、申し訳ない気持ちでした。
そのワンちゃんが18歳になり、久しぶりに来院しました。相談内容は、かかりつけ医は麻酔下で歯石と歯槽膿漏の治療をするとのことで、高齢だけに麻酔を心配されて来られたのです。「口のケアだけ」という主張はあまり気持ちのよいものではありませんでしたが、ヘルニア治療でコミュニケーションが取れていることもあり、心臓の治療についてかかわらないことを条件に、受け入れました。それでも、心臓病の薬や心音の確認はしています。
すると、口の洗浄中や洗浄後に2週続けてヘタリ込みが強くなり、心音の悪化が見られ、「最近受診したか? 症状の悪化を伝えられていないか? 薬は増量されていないか?」の3点を確認すると、いずれもNOでした。この症状では、口の洗浄中に虚血性ショックを起こしかねないので、当院で内服薬を再検討。エコー検査などを基に処方薬をベースに薬を増量したのです。