上野「大統領」でギッシュとツナギを塩で注文。隣の妙齢の女性が「私も同じものを」と…
ギッシュはカシラの脂、ツナギは豚ハラミ
焼ける間に店内を見ると、常連の先輩たちとキャリアの浅い若い連中が半々くらいか。外席は断然若者中心。店内のカップルがひそひそと「煮込みの豆腐を多めにしてもらえるかな……」「むりよ……」。すかさずカウンター内のお姉さんが「できるよ」。さすが。会話を聞き逃さない。このタイミングでお姉さんに話を聞いてみた。
客層が変わったよね?
「コロナからこっち、全然変わりましたよ。あたしが入った20年前とは大違い」
外国人は来る?
「本店のこっちは少ないけど、アッチはけっこう来ますよ」
歩いて30秒のところに巨大な支店がある。そちらは本店よりも入りやすいためか、外国人も多く、平日の昼から大賑わいだ。
ところで、自分で言うのもなんだが、アタシはもつ焼きに関してはかなりの高段者と自負している。が、20種類以上ある大統領のもつ焼きの中で知らないものがあった。それは「ギッシュ」と「ツナギ」。お姉さんが教えてくれた。「ギッシュはカシラの脂のところ。ツナギは豚ハラミ」。なるほど「じゃ、それも塩焼きで」。
モツは店や地方によって呼び名が変わることがある。そんな会話を隣の一人客の妙齢の女性が聞きつけて「私も同じものを」。アタシに話しかけるともなく「初めてなのでよくわからなくて……」。驚いたアタシは彼女の顔をまじまじと見てしまった。最近は女性の一人客も珍しくないらしい。確かに20年前とは明らかに変わったと改めて実感した次第である。
(藤井優)
○大統領 台東区上野6-10-14