おそうじ本舗 見澤直人社長(1)異端児がハウスクリーニングのプロ集団を率いるまで

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 しばらくして家に戻ってみると、大きな騒動になっていた。当時、見澤家が住んでいたのは団地の5階。すぐ下の4階の住人が「家の中が水浸しになった」と怒鳴り込んできたのだ。見澤少年がトイレに流そうとした紙が詰まったせいだった。

 親から「なんでそんなことをしたの」と聞かれても、首をかしげるしかなかった。その理由が自分ではまったくわからないのである。ただ、芯が欲しいと思っただけなのだ。

「本当に単細胞なんです。あれがしたいと思ったら、深く考えず、なりふりかまわず前にまっすぐ進んじゃう。今でもそういうところがありますけど」と見澤氏は笑う。

 幸い、親からひどく怒られることはなかったが、困った子であるのは間違いなかった。家でも学校でも褒められる場面はほとんどなかったのである。そうした状況が一変するのは小学校3年の2学期だった。父親が東京に転勤になり、家族全員で京都から大田区馬込に引っ越すことになった。

「その少し前に漫才ブームがあったことも影響してか、関西弁を話す僕は急にもてはやされるようになるんです」 =つづく

(ジャーナリスト・田中幾太郎)

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