「社会投資家」って何? 10億円以上稼いだ人が始めたきっかけ、シニアに勧める理由
東日本大震災のボランティアを通して浮かび上がった社会投資への道
「投資自体を始めたのは大学院で数学を学んでいた23歳の時です。学費や生活費を稼ぐために、見よう見まねでFXを始めたのですが、結果的にうまくいき、多額の資金を手にしました。その数年後、滞在先のバリ島で東北地方が震災で大きな被害を受けたと知りました。すぐに寄付をし、帰国すると現地に入ってボランティア活動もしたのですが、そこで見たのは圧倒的な悲しみと、人は誰でもいつかは死ぬという現実でした。自分も悔いなく一生懸命生きたい。少しでも誰かの役に立って、たくさんのありがとうをもらえるような人間になりたい。そう考えた時、社会投資という考えがより強く浮かび上がったのです」
その伏線は故郷の天草と、大学を休学して初めて海外旅行をしたインドでの体験にあった。
最寄り駅まで100キロという過疎の漁村に育った竹井さんは相当なやんちゃで、高校時代に無期停学を食らう。しかし、担任の教師や級友に助けられ退学を免れた。
「今の自分があるのはその人たちのおかげ。かばって良かったと思ってもらえるよう一生懸命勉強し、広島大学に進学できたからです。先生たちが亡くなっても、そのご家族とのご縁は今も続いています」
インドでは、生活のために腕や足を切り落とし、見せ物にさせられる子供たちを数多く見た。そうした子供たちを救うには、寄付をするだけでなく、自分たちで稼ぐ方法を教えなければならないと悟った。
「その時は、日本人観光客から多くのチップをもらえるよう“ぶんぶんぶんはちがとぶ”という日本の童謡を教えることしかできませんでした。でももっと稼げる方法を教えてあげたい、力になりたいと思ったのです」