金利は高止まりへ…利下げ後の米国債券投資「メリットとデメリット」
利下げ後の米国債ETFの過去の値動きは
しかし、米国で国債の利下げが実施されれば債券価格は再び上昇する。今後の利下げを念頭に、債券投資は選択肢のひとつにも浮上している。
■米国債ETFの特徴
米国債ETFはさまざまな期間の米国債を組み込み、株式市場で取引されているため購入しやすい。
債券ETFの特徴を見てみよう。
・毎月決まった配当がある
・株式と反対の値動きをするためS&P500など株式インデックスと一緒に保有するとリターンが安定する
・国債と違って投資信託のため満期がなく、元本保証もない
・為替手数料がかかる
・所得に対して米国と日本の二重課税がかかる。ただし、確定申告で控除できる
・円高ドル安に振れると円の価値が下がる。手数料がかかるが為替ヘッジの効いた商品もある
・短期債券(3年、5年)よりもデュレーション(残存期間)がある債券のほうが値動きが大きい。米長期債の金利上昇により超長期債券を組み込んだETFは大きく値下がりした
■定番の米国債ETF
外債ETFは多くの種類があるが、人気銘柄であるAGG、BND、TLTの特徴を見てみよう。レバレッジが効く外債ETFと異なり、これらのETFは安定運用されている。米国株式市場で売買できる。
AGG(iシェアーズ・コア米国総合債券市場ETF)は、米国の債券市場全般と連動。運用会社は世界3大運用会社ブラックロックだ。
総資産額は973億ドルで10億口が発行済み。保有銘柄の42.15%を米国債で構成。毎月分配で、過去12カ月の分配金利回りは3.15%。分配金の原資は債券の利息なので、固定支払いが約束されている。
2003年に1万ドルで販売され、現在は1万8000ドル。他の米国債ETF同様、10月末で反発。
BND(バンガード・米国トータル債券市場ETF)を扱っているのは、世界最大級の運用会社、バンガード。格付けBBB以上の投資適格債で構成されている。
TLT(iシェアーズ米国国債20年超ETF)は、超長期の国債で構成。総資産額は470億ドル。配当利回りは3%である。
日本の株式市場でも「iシェアーズ米国債20年超ETF」(為替ヘッジあり、2621)など債券ETFは購入可能。配当金は1口年31円で分配は年4回。21年に2400円を付けたが、その後、続落。しかし、ほかの米債ETF同様、10月末の1200円を底値に反発。現在は1300円。米国で利下げとなればさらに上がる可能性がある。