著者のコラム一覧
重道武司経済ジャーナリスト

1957年鳥取県倉吉市生まれ。84年フジサンケイグループ傘下の経済紙「日本工業新聞」(現フジサンケイビジネスアイ)の記者となり、千葉支局を振出しに鉄鋼、自動車、総合電機、財界、金融、エネルギー(電力・石油・ガス)などの業界を担当。2000年外資系通信社に転じた後、02年からフリーに。得意分野は通信社時代を含めて在籍足掛け7年にも及んだ日銀記者クラブ時代に人脈を培った金融。自動車業界にも強い。

「ベネフィット・ワン」めぐる熾烈TOB合戦の行方…「第一生命」「エムスリー」両社の狙いは

公開日: 更新日:

 1800円以上──パソナグループ傘下の福利厚生代行サービス最大手、ベネフィット・ワンにTOB(株式公開買い付け)を実施中の医療情報サイト運営のエムスリー。これに対し先週、対抗TOBを突き付けた第一生命ホールディングスが打ち出したTOB価格の水準だ。エムスリーによるTOB価格1600円を最低でも200円上回る。

 しかも1800円ではない。「以上」だ。「仮に価格の釣り上げ合戦になっても『簡単にゲームを降りたりはしませんよ』という意思表示でしょう」。金融筋のひとりはこうみなす。第一生命が描く「想定上限ライン」と取り沙汰されているのは、今年2月にベネワン株がつけた年初来高値2390円前後。エムスリーによるTOB発表直前のベネワン株の終値に2倍超ものプレミアムが乗る。

 ベネワン株のPBR(株価純資産倍率)は足元ですでに10倍を超え、PER(株価収益率)は40倍を突き抜けている。「超々割高」(証券大手関係者)なディールだ。裏返せばそれほどまでしても手に入れたい魅力的な“獲物”というわけか。

 ベネワンは1996年の設立。パソナの社内ベンチャーとして生まれた。企業から会費を徴収して、会員企業の従業員に旅行やレジャー施設の利用といった福利厚生サービスを割安な料金で提供する。

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