TSMC工場進出で半導体バブルに沸く? 注目の熊本県菊陽町から聞こえたタメ息と狂騒
付近のコンビニは特需
菊陽町に隣接する大津町では、新築の高層マンション4棟が建設中。不動産や建設関係は景気が良さそうだが、地元住民は「バブルの恩恵にあずかっている人は土地や畑を持っている地主ですよ」と口をそろえる。
バブルと言われる裏で、住民を悩ませているのが渋滞問題だ。50代のタクシー運転手の男性がタメ息交じりに言う。
「熊本市内と工場を結ぶ道が限られているので、朝夕は大渋滞。第1工場が建設中の時は、市内まで約10キロの道のりが1時間半かかる時もありました。地元に人が増えて賑わうのは良いとしても、インフラ整備が全然追いついていない」
一方、工場近くにポツンとたたずむコンビニは連日、大盛況で“うれしい悲鳴”が上がる。
20代のアルバイト男性は「もうホントにヤバいっす」と繰り返し、こう続けた。
「朝昼が特に大変で、工場関係者の外国の方がひっきりなしにやってきます。コンビニ1店舗あたり1日平均1000人が来ると言われているみたいですが、体感ではその1.5倍くらい。午後3時の補充までの間に、食べ物が品薄になることも珍しくありません」
今年の年末までに第2工場の建設が始まり、27年末までに稼働開始の予定だ。半導体バブルをめぐる狂騒はまだまだ続く。
(取材・文=高月太樹/日刊ゲンダイ)