利上げ観測で「円高」急加速1ドル=151円台…7月末の決定会合で植田日銀はどう動く?
「日銀は政治に振り回されています。3月の利上げ直後に岸田首相から『利上げしないで』とクギを刺されたため、6月の追加利上げを見送り、国債買い入れ減額という『量』の調整を選択した。それも6月は減額のアナウンス、7月に具体的金額と、小出しにしたのです。それなのに、茂木幹事長から『正常化シナリオ』を求められた。だったら6月に利上げしておけばよかった、という話。植田さんは悩ましい状況です。ただ、日銀は戦力を逐次投入する傾向があり、武器を一度に2つ使うのを好まない。今回は減額だけでお茶を濁し、利上げはないだろうとみています」(経済評論家・斎藤満氏)
しかし、利上げしなければマーケットは落胆し、また円安に逆戻りだ。米国では9月の利下げ予想がほぼ100%の織り込み済みだという。
「永田町のお墨付きがあるわけですから、日銀も9月には堂々と利上げするのではないか。さらに、茂木氏の発言は複数回の利上げを印象付けました。マーケットが、米国は9月と12月の利下げ、日本は9月と12月の利上げ、とみれば、短期的には円安に戻っても、中長期には日米金利差が縮まることを想定して、円安の修正に入るでしょう」(斎藤満氏)
もし、7月末の会合で利上げに踏み切るようなことがあれば、「新しい日銀」になると斎藤氏。さて、植田総裁の判断はいかに。