著者のコラム一覧
重道武司経済ジャーナリスト

1957年鳥取県倉吉市生まれ。84年フジサンケイグループ傘下の経済紙「日本工業新聞」(現フジサンケイビジネスアイ)の記者となり、千葉支局を振出しに鉄鋼、自動車、総合電機、財界、金融、エネルギー(電力・石油・ガス)などの業界を担当。2000年外資系通信社に転じた後、02年からフリーに。得意分野は通信社時代を含めて在籍足掛け7年にも及んだ日銀記者クラブ時代に人脈を培った金融。自動車業界にも強い。

いわき信組で現金着服事案2件発覚…金融当局がニラむ「175億円公的資金」返済計画

公開日: 更新日:

 金融当局内部では「青白い怒りの炎」(関係者)が広がっているらしい。福島県いわき市に本店を置く、いわき信用組合で多額の不正融資と、職員による2件の現金着服事案の隠蔽が発覚した。

 旧経営陣らが市内の大口融資先の資金繰り支援や赤字補填などを目的に、この企業の役員らの家族名義の口座を経由する形で毎月のように「迂回融資」を繰り返していたというのが不正融資の実態。融資総額は判明している分だけで「10億円以上」(本多洋八理事長)にのぼっているという。

 一方の着服事案は、ギャンブルなどの遊興費欲しさに当時、係長だった職員が4500万円、支店次長だった職員が20万円をそれぞれ懐に入れたというもの。

 係長事案は役員らもそれを把握していながら金融庁に報告していなかった。また支店次長事案はそもそも支店から本店に事実関係が伝えられていなかった。

 何やら地方の中小金融機関を舞台に「いかにも起こりそうな事件」(メガバンク筋)と言えなくもないが、当局がこれに神経をとがらせているのは、背景に公的資金の存在があるからだ。いわき信組には、東日本大震災後の地域の金融秩序の維持などを名目に175億円もの“血税”がつぎ込まれているのである。

 無論、時系列的に見て一連の不祥事と公的資金の間に直接的なつながりはない。不正融資が始まったのは2008年から。着服事案の発生は09年と14年。これに対し公的資金注入は12年だ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    大阪万博「午後11時閉場」検討のトンデモ策に現場職員から悲鳴…終電なくなり長時間労働の恐れも

  2. 2

    気持ち悪ッ!大阪・関西万博の大屋根リングに虫が大量発生…日刊ゲンダイカメラマンも「肌にまとわりつく」と目撃証言

  3. 3

    フジテレビ問題で中居正広氏が反撃…問われ始めた第三者委員会の信頼性

  4. 4

    早期・希望退職の募集人員は前年の3倍に急増…人材不足というけれど、余剰人員の肩叩きが始まっている

  5. 5

    大阪万博はやっぱり赤字?1日あたりの入場者は初日を超えられず…開幕1カ月のしょっぱすぎる収支報告

  1. 6

    迷走続く「マレリ・ホールディングス」再建…金融界の最大の懸念は日産との共倒れ

  2. 7

    5月に入り葉物野菜が激安のワケ…1年前は1玉1000円だったキャベツが200円台前半で店頭に

  3. 8

    ウミガメ食べてしのぐしかないガザの深刻飢餓…イスラエルが物資搬入停止で兵糧攻めに

  4. 9

    大阪万博GW集客伸びず…アテ外れた吉村府知事ゲッソリ?「素晴らしい」と自賛も表情に滲む疲れ

  5. 10

    いわき信組で現金着服事案2件発覚…金融当局がニラむ「175億円公的資金」返済計画

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁“”化けの皮”が剝がれたともっぱらも「業界での評価は下がっていない」とされる理由

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    大阪万博「午後11時閉場」検討のトンデモ策に現場職員から悲鳴…終電なくなり長時間労働の恐れも

  4. 4

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 5

    遠山景織子の結婚で思い出される“息子の父”山本淳一の存在 アイドルに未練タラタラも、哀しすぎる現在地

  1. 6

    桜井ユキ「しあわせは食べて寝て待て」《麦巻さん》《鈴さん》に次ぐ愛されキャラは44歳朝ドラ女優の《青葉さん》

  2. 7

    江藤拓“年貢大臣”の永田町の評判はパワハラ気質の「困った人」…農水官僚に「このバカヤロー」と八つ当たり

  3. 8

    天皇一家の生活費360万円を窃盗! 懲戒免職された25歳の侍従職は何者なのか

  4. 9

    西内まりや→引退、永野芽郁→映画公開…「ニコラ」出身女優2人についた“不条理な格差”

  5. 10

    遅すぎた江藤拓農相の“更迭”…噴飯言い訳に地元・宮崎もカンカン! 後任は小泉進次郎氏を起用ヘ