セブン&アイHD(上)カナダのコンビニ大手が買収提案の衝撃
経済安保の観点から見ておこう。セブンは外為法の対象になっている。今回の買収提案が、日本の経済安全保障の議論を呼び起こすことになる。友好か敵対的であるかにかかわらず、セブンの事業が国の食料安全保障に影響を及ぼすと判断した場合、国が投資の変更や中止を命令することができる。
米国でも壁が立ちふさがる。セブンは21年に米のガソリンスタンド併設型コンビニ、スピードウェイを買収するなどして、現在は米国のコンビニ業界でのシェアは8%で1位。クシュタールは4%弱で2位だ。買収が成立するとシェアは12%近くに高まる。
米ロイターは10日、米連邦取引委員会(FTC)が独占禁止法に抵触するかどうかを調査する方針を決めたと報じた。
英紙フィナンシャル・タイムズは、買収で合意しても、米規制当局の承認を得るには、事業分割を提案する必要があると伝えている。
クシュタールは21年にフランスのスーパー大手、カルフールに買収を提案したが、フランス政府が食料安保を理由に拒否し、買収を断念した。クシュタールによるセブンの買収は難しいという結論だ。