1年目から活躍続々 広島のスカウト部長が語る「新人育成法」
「それではダメなんです」
少し語気を強めて、広島の苑田スカウト統括部長がこう言った。1年目から先発ローテ入り、4勝をマークするドラフト1位の大瀬良大地(22=九共大)について、ライバル球団の某スカウトの以下のような発言をぶつけた時だった。
「素材は抜群だが、先発で1年間投げ抜くのは難しいと思う。長いイニングを投げるスタミナに課題がある。本格化するのは1年間、下でじっくりと鍛えてからだろう」
アマ選手はシーズンを通してのプレー経験がないから……。そんな意見に反して、大瀬良は1年目から活躍している。加えて13日に先発し7回1失点と好投した同2位の九里亜蓮(22=亜大)ら4新人が一軍でプレー(13日現在)。優勝を争うライバルの巨人、阪神と比べ選手層が厚いとはいえない事情もあろうが、苑田部長はこう言った。
■「2年目に本格化する保証なし」
「1年目は体力づくりに専念させるやり方もあるでしょう。『まだプロの体ができていない』と。アマ時代にケガをしていたら別ですが、そうすると選手の方が、『じゃあ1年目は働かなくていいんだ』と思い込んで、そういう体づくりしかしなくなってしまう。それに2年目以降に本格化する保証もない。もし1年目で体力面に不安があったとしても、本人には『まだまだプロの体じゃない』とは言わない。『おう、体ができてきたな』などと前向きな言葉をかけるようにしています」