ブラジル代表も守備重視 日本代表に求められるのは「手堅さ」
■短期決戦を熟知するブラジル
対照的なのが、開催国のブラジル代表である。W杯直前までブラジルでは、自国の代表に関しての期待はそれほどでもなかった。それはルイス・フェリペ・スコラーリ監督が選んだ代表がそれほど魅力的でなかったからである。
スコラーリはブラジル南部出身、“ガウショ”である。ガウショのサッカーは国境を挟んだアルゼンチンに近く、守備的で激しいとされている。フェリポン(スコラーリの愛称)は02年日韓大会でブラジル代表を優勝に導いた。その優勝メンバーのひとり、MFジュニーニョ・パウリスタはこう分析する。
「フェリポンはまず守備を固める。失点を防ぐことに気を使う。1人か2人、攻撃的な選手には好きにやらせるが、それ以外の選手には守備を要求するんだ」
今大会、ブラジル代表の滑り出しは、手堅いものだった。負けないサッカーは王国らしくないと映ったかもしれない。それも3試合目になると、堅い守備の中にネイマールたちの攻撃的な才能が輝き始めた。短期決戦を勝ち抜くことを熟知したフェリポンは、実に慎重だった。