関脇時代も安定感に欠け 新大関・豪栄道は地位確保が精一杯
「大和魂を貫いてまいります」
30日の伝達式で、力強く口上を述べた新大関の豪栄道(28)。これで琴奨菊、稀勢の里に続いて日本人大関は3人目。先輩2人が優勝と無縁の中、豪栄道に期待されているのはもちろん、03年に引退した貴乃花(現親方)以来となる日本人横綱だ。
身長183センチ、156キロと決して体格には恵まれてはいない。もともとは引き技や切り返しなど何でもござれの業師。むしろ小手先の技頼みだった。
ある相撲記者は「正攻法の相撲を取れるようになったのはここ数場所です」とこう言う。
「昭和以降最長となる、関脇連続在位14場所という経験が生きたのでしょう。以前は踏み込む力が弱く、上位陣に当たり負けし続けてきた。それだけに自分に何が足りないか、嫌というほど思い知らされたはず。立ち合いの圧力が増したので、相手が大関や横綱でも正面からぶつかって相撲を取れるようになった」
■関脇時代は連続2ケタ勝ち星は一度もなし
唯一にして最大の懸念が安定感のなさだ。関脇時代に連続2ケタは一度もなく、それどころか負け越した場所が2度。それでも番付が落ちなかったのは、下から上がってくる力士がたまたまいなかったからだ。大関昇進も、直前の3場所は12勝、8勝、12勝。目安となる3場所33勝にも1勝足りない。