「六つの村を越えて髭をなびかせる者」西條奈加著
「六つの村を越えて髭をなびかせる者」西條奈加著
出羽の貧しい百姓の家に生まれた元吉だが、独学で学問に励み、江戸に出て働きながら私塾に通う。私淑する師のさらに師である本多利明は、かねて蝦夷と北方にひときわ関心を寄せており、海防と蝦夷開拓の必要性を説いてきた。
天明2年から続く飢饉で民が貧窮する中、老中筆頭・田沼意次はそうした声を受け、幕府の見分隊を蝦夷地に派遣することを決定。本多の計らいで、元吉は最上徳内と名を改め、従者としてその一員に加わり、天明5年、蝦夷に向かう。松前藩に到着した徳内はアイヌ語の習得を旅の一義としていたが、なぜか松前藩からアイヌの人々との接触を禁じられる。
その後何度も蝦夷、北方を探検し、地図やアイヌ語辞書などの編纂に携わった徳内の苦難の人生を描く歴史時代小説。
(PHP研究所 1056円)