陸上ボルトのコピーも? 「遺伝子ドーピング」が流行の兆し
「もはやSFの世界の話ではない」
最近、フランスの医学会で、こんな報告があったという。
3日間にわたり都内で開催され、30日に閉幕した世界アンチ・ドーピング機関(WADA)の国際会議。期間中に国連教育科学文化機関(ユネスコ)のアンジェラ・メロー氏(エシックス・ユース・スポーツ・ディレクター)が新手のドーピングについて警鐘を鳴らした。
違法な手段で競技力向上を図る連中にとって、興奮剤や筋肉増強剤といった禁止薬物は、もはや頭打ち。ここ数年は「遺伝子ドーピング」が流行の兆しを見せているそうだ。
「遺伝子ドーピング」とは、一流アスリートの体内から遺伝子を採取して他の選手に注射や手術で移植するもの。通常のトレーニングが必要なものの、遺伝子を注入した選手は目覚ましい競技力向上が見込めるそうだ。
陸上男子100メートル世界記録保持者(9秒58)のウサイン・ボルト(28=写真・AP)や、男子競泳バタフライ100メートル(49秒82)、200メートル(1分51秒51)のワールドレコードを持つマイケル・フェルプス(29)のコピーを作ることも理論上は可能だという。
WADAでは数年前から新手のドーピングの調査に着手。現時点で公表はしていないものの、すでに数件の怪しい事例が判明しており、専門チームが分析を進めているというのだが……。