若手有望株いない日本男子ツアーを「甘い世界」と評論家酷評
「ゴルフ界全体で有力な若手の芽を摘んできたからです。あるプロなど大学時代に活躍したというだけで、まだプロテストにも合格していないのに大手メーカーと1000万円で契約を結び、記者会見まで開いたことがあった。メーカー側からすれば、人気選手と契約しているかどうかでクラブの売り上げが変わるので、実績がなくても構わない風潮があった。その結果、選手はプロになる前から、戦わずして莫大なカネを手に入れるわけです。プロは勝ってナンボの世界ですが、プロになっただけで満足してしまう。ジュニア時代からの目標を達成し、燃え尽きてしまうケースが多いのです」
■米ツアーの下部選手は死にもの狂い
米ツアーでは、実力があっても資金がないため、下部ツアーを転戦できない下積み選手などザラだ。ピザ屋でアルバイトをしながら生計を立て、地元の大会でようやくつかんだチャンスで生きるか死ぬかの覚悟で試合に臨んでいるから強い。
「大会を運営する側にしてみればスター選手がいなければ客も入らず、視聴率も見込めません。だから、テレビ局も主催者もにわかスターをつくるしかない。粗製乱造です。若い選手の成長を見守ろうとか、ゆっくり育てようなんて気などさらさらない。カネ儲けに走るゴルフ業界に都合よく使われているだけです。本人もチヤホヤされて一流選手だと勘違いしてしまう。しかし、いざプロの世界に飛び込むと、そんな甘いものではない。それでもスポンサー契約金はたんまり持っているから、カネに困るわけでもなく、どっぷり甘い世界に浸かってしまう。力を発揮できないまま、消えていった選手を何人も見ています」(前出・宮崎氏)
そんな日本ツアーに愛想を尽かし、松山英樹(22)や石川遼(23)は米ツアーに逃げて潰されずにいるのだから大正解だ。プロ野球やサッカーは若手選手が続々と頭角を現しているが、ゴルフ界は一向に若手選手が育たない。人気のある若手がツアーで活躍しない限り、男子ツアーに希望はない。