敵は超高難度プログラム 羽生が今季強いられる“己との戦い”
「自分の中では頑張った方だと思う」
ソチ五輪王者の羽生結弦(20)は、そう言いながらも唇を噛んだ。
自身の今季GP初戦となったスケートカナダ。前日のSPでまさかの6位発進となった羽生は、逆転を狙ったこの日のフリーでは、後半の1度を含む3度の4回転ジャンプをすべて着氷させた。それでも、最後のジャンプで転倒するなど2位に浮上するのが精いっぱい。2季ぶりの復帰で優勝したライバルのチャンに4.04点差をつけられ、SPとの合計でも11.60点差。後半の4回転で氷に手をつくなど、出来栄え点を伸ばせなかった。
SPの演技後半に4回転を跳び、フリーでも4回転ジャンプを3本組み込む羽生のプログラムは世界トップクラスの技術に体力も必要とされる超高難度。GPシリーズの前哨戦で今季初戦となった10月のオータム・クラシックのフリーでも、冒頭の4回転トーループで手をつき、後半の4回転ジャンプでは転倒した。
男子フィギュアは、元世界選手権3連覇のチャンが復帰したとはいえ、昨年の五輪と世界選手権を制し、GPファイナルでも2連覇中の羽生の1強時代。敵はやはり、己との戦いとして挑む超高難度プログラムということになりそうだ。