羽生強行出場が典型例 選手を潰す「スポーツ界」の悪しき体質
あるスポーツ紙は「ボロボロ」と表現した。約3週間前のフィギュア・GPシリーズ中国杯での練習中に負傷した羽生結弦(19)。このケガが癒えぬままNHK杯の舞台に立つも、4位に終わった。
日本のフィギュア界は安藤美姫、鈴木明子、高橋大輔が続々と引退。浅田真央は休養中とあって、フィギュア人気はソチ五輪金メダリストの羽生の双肩にかかっている。
スケート連盟は多額の費用を出しているスポンサーの顔色をうかがう。男女のスター選手がリンクを去った今、羽生まで欠場というわけにはいかない。羽生は自分の意思だと言うが、連盟が傷だらけでも中国杯を滑らせ、NHK杯出場にもストップをかけなかったのは、そういう事情もある。
組織や指導者、先輩には絶対従う――この国のスポーツ界に、今もはびこる悪しき体質だ。昨年、世間を騒がせた柔道界のセクハラ、パワハラ、暴力問題などはその典型だ。
フィギュアの高橋がスケート連盟の橋本聖子会長に無理やりキスされたのも、根っこは同じ。体操女子でも暴力を振るったコーチが書類送検され、大阪の桜宮高校バスケットボール部では顧問の暴力に悩んだ生徒が自殺した。指導者や団体の幹部連中が権力を私物化するさまは、まるで封建社会さながらだ。