青学“完全連覇”に大騒ぎも…箱根駅伝栄えてマラソン滅ぶ
ならば、マラソンはどうか。「箱根駅伝が日本のマラソンをダメにした」と言われて久しいが、過去の記録を見ればそれも納得だ。
駒大OBの藤田敦史が、00年の福岡国際で2時間6分51秒で優勝したものの、箱根を走った選手で6分台を記録したのはこの藤田のみ。他に6分台の記録を持つ高岡寿成と犬伏孝行は箱根を知らないランナーだった。
藤田以降、箱根経験者で2時間7分台を出した選手も4人しかいない。順大時代に「山の神」と言われた今井正人(31)が昨年の東京で7分39秒をマークするも、7分台は3年ぶりだった。
「高校時代にトラックや駅伝で好タイムを出した選手の多くは、関東の大学で箱根駅伝を目指す。若い選手が五輪や世界陸上以外で大観衆とマスコミにこれほど注目されるイベントはないですから。でも、箱根を走ることや、区間賞を取ることなどが大きな目標となってしまい、それが達成されると燃え尽きてしまう。だから大学を卒業すると陸上をやめたり、実業団に進んでも箱根ほど明確な目標がないのでマラソンの練習に身が入らないのです」(陸上関係者)
箱根駅伝で走る距離は1区間約18~23キロ。42.195キロの長丁場でスタミナと駆け引きが要求されるマラソンへの転向は容易ではない。箱根のスター選手からマラソンの有望選手が出てこないのは、駅伝人気の裏返しでもあるのだ。