ノーマークから初準V 粘り強さの北海“大躍進”のカラクリ
決勝で敗れたとはいえ、大躍進といえるだろう。
右腕の大西健斗(3年)を擁し、創部116年目にして初の準優勝となった北海(南北海道)。37回の夏出場は全国最多の伝統校も夏の初戦突破は22年ぶり。優勝した作新学院(栃木)には「ドラ1」候補の今井達也(3年)という大エースがいたが、北海はこれといったタレントもいない。大会前はノーマークに等しかった。
エース兼主将の大西は、今回の活躍により一気に注目の的になった。あるスカウトによれば、「慶応など有名大が獲得に関心を持ち始めた」という。
北海の南北海道は激戦区。03年から07年まで夏の予選5連覇の駒大苫小牧時代は終わり、北海が今回、2年連続出場を果たすまでの7年間、札幌第一、北照、東海大四(現東海大札幌)が入れ替わりで優勝。北海の坪岡部長は「最近は優秀な中学生が各高校に分散する傾向がある。どの高校が勝ってもおかしくない」と言えば、マスコミ関係者はこう語る。
「南北海道には抜きんでた学校がない。北海は、特別な練習をしているわけではないが、他校があまりやらない走り込みなどの基礎練習の反復で体力、技術、精神力を強化し、昔からの伝統である投手を中心にした守りの野球を徹底した。大西は粘り強く投げ抜いたし、打線がつながらない試合が続いてもナインは気持ちを切らさず堅い守りで粘り勝った。今どきの高校生はあきらめが早く、気持ちが弱いだけに、粘り強さが際立った」