メジャーに思惑…大谷の移籍を最後に「入札制度」消滅か
この道はいつか来た道ではないか。
米大リーグ機構(MLB)が、入札制度(ポスティングシステム)の今オフの改正を希望している。大谷翔平(22=日本ハム)が早ければ今オフ、同制度を利用してメジャー挑戦するからだ。
メジャーは大谷をできるだけ有利な条件で手に入れたい。現制度は入札金の上限が約23億円に設定されているが、どうやら上限の減額をもくろんでいるらしい。
いまから4年前、13年11月にも同様のケースがあった。MLBと日本野球機構(NPB)が、入札制度に関して綱引きをした。同年オフ、公式戦24勝無敗の田中将大(28=現ヤンキース)が、同制度を利用して海を渡ることが濃厚だったからだ。
それまでの制度は入札金に上限がなく、松坂やダルビッシュは入札金だけで50億円を超えた。MLBはこの金額にかみついた。「移籍金になぜこれだけの大金が必要になるのか」「金満球団だけが優れた選手を獲得できる現制度はフェアではない」と。
NPBからは「移籍金の23億円は安過ぎる」との意見が出たものの、結局、「こちらの条件をのめないなら入札制度をなくしても構わない」というMLBの恫喝に屈するしかなかった。同制度がなくなれば、メジャー移籍の方法は海外FAに限られる。少しでも早い時期にメジャー挑戦したいという選手の希望はかなえられないうえ、球団には移籍金がまったく入らなくなってしまう。NPBはMLBの条件をのむしかなく、移籍金の上限が約23億円の現制度に改正された経緯がある。今回もMLBの要求を受け入れることになるのは火を見るより明らかだ。