王者奪取でも赤字か ボクシング村田「世界初挑戦」の採算
どっちらけだ。
20日の世界戦(東京・有明コロシアム)に備えた19日の計量で、WBC世界フライ級タイトルに挑む同級1位の比嘉大吾(21=白井・具志堅スポーツ)の相手、王者のファン・エルナンデス(30=メキシコ)がリミットオーバーで王座を剥奪。当日の試合で比嘉が勝てば新王者となるものの、具志堅用高会長が、「こういうのはダメだよ! チャンピオンはきちんと減量をやらないといけないんだよ!」と不快感をあらわにするなど、世界戦に水を差された関係者は怒り心頭である。
この興行自体、そもそもボクシング関係者の間では、「とても採算が取れない」ともっぱらだった。
ロンドン五輪金メダリスト・村田諒太(31=帝拳)の世界初挑戦を目玉にした「トリプル世界戦」と銘打った今回の興行、帝拳ジムの本田会長はファイトマネーを含めて「約5億円規模」と明かしていたが……。
「日本で開催する通常の世界戦のギャラを含めた費用は8000万円が相場、トリプルでも1億3000万円から1億5000万円。5億円は破格も破格で、日本ではあのマイク・タイソンがやった2度のヘビー級タイトルマッチに次ぐ規模になる。WBA世界ミドル級2位の村田の世界初挑戦は当初、相手の同級1位のアッサン・エンダム(33)の地元、フランスで開催する方向で話が進んだ。それを、プロモーターが日本に持ってきたわけだ。エンダムのファイトマネーをかなり上積みし、納得させたともっぱら。相手側のセコンドの人数、スパーリングパートナー、彼らを含めた飛行機やホテルのランクなども相当、譲歩したと聞いている。すべては、ホームで少しでも有利な条件で村田に戦ってもらうため。今回の興行が赤字になっても、チャンピオンになってくれればこの先、元は取れるということだろう」(ボクシング関係者)
いわば、先行投資。思惑通りに村田が王座を獲得できなければ、赤字だけが残るということになりそうだ。