覇気なく初日黒星…休みたくても休めない稀勢の里の憂鬱
「巡業は売り興行なので、1日で協会が得る契約金は700万円から900万円。申し込みが殺到し、数を絞っているのが現状です。勧進元としても、今の相撲人気なら容易にチケットを売りさばけると踏んでいる。当然、巡業が増えれば増えるほど相撲協会はもうかる。現場の力士からは『バス移動ばかりで体がもたない』と苦情が出ているほどです」(角界関係者)
相撲協会の16年度の決算は、約6億4000万円の黒字。前年度から約3億9400万円もアップしている。10年の野球賭博問題、11年の八百長騒動と不祥事続きで赤字、赤字の連続だった当時からは考えられないV字回復だ。
■4億円増収でウハウハの相撲協会とは対照的に…
そんな“相撲バブル”の屋台骨を背負っているのが、横綱稀勢の里だ。ファンが待ち望んだ和製横綱として、人気と期待を一身に集めている。しかし、今の稀勢の里は期待に応えられる状態ではない。3月場所中に日馬富士に負わされた左腕のケガは、いまも完治していない。その証拠がこの日の相撲だ。気鋭の御嶽海に右脇を固められると左を差せず、その時点で打つ手なし。腰高で何もできないまま、もろ差しで寄り切られた。