覇気なく初日黒星…休みたくても休めない稀勢の里の憂鬱

公開日: 更新日:

 相撲評論家の中澤潔氏は「負けた2横綱3大関の中で、一番悪い内容だった」と、こう続ける。

「相撲用語で、立ち合いからすぐに二本差されることを『バンザイ』と呼ぶ。今日の稀勢の里は、バンザイをしに土俵に上がったのか、という相撲だった。覇気も何も感じない。拍子抜け、ブサイクな相撲です。稀勢の里は今場所の出場にあたって、どこまで真剣に考えたのか。土俵に上がれば何とかなる、という程度の甘い気持ちがあったのではないか」

 自らの存在が相撲協会に莫大な利益を生み、角界が活況を呈していることを考えれば、稀勢の里には、「休んでいられない」という思いがある。八角理事長(元横綱北勝海)も「横綱は出場するのが務め」と話しており、角界全体にそうした雰囲気があるのは事実だ。

 その結果が、この日の惨敗。多額の懸賞金目当てに対戦相手は目の色を変えるし、平幕にすれば金星のチャンスだ。中途半端な気持ちで崩せるほど、モンゴル勢の牙城ももろくはない。ケガで万全ではない状態で「横綱の務め」を果たせるほど甘くはないのだ。仮に連敗が続けば休場は必至。2場所連続で途中休場となれば、それこそ進退問題にも発展しかねない。

 支度部屋では報道陣の問い掛けに、ほとんど言葉も出なかった稀勢の里。体より先に、心が悲鳴を上げるかもしれない。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    石井琢朗コーチが三浦監督との《関係悪化説》を払拭、「ピエロ」を演じたCS突破の夜

  2. 2

    旧ジャニーズ“復活”で女帝復権か…米国でスルー状態のTravis Japanを日本メディアが一斉ヨイショの裏

  3. 3

    いまや大谷ドジャースこそ「悪の帝国」だ…カネ&人気&裏技フル活用でタンパリング疑惑まで

  4. 4

    巨人、阪神などライバル球団が警戒…筒香嘉智に復活気配、球際の弱さからの脱却

  5. 5

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  1. 6

    甲斐拓也だけじゃない!補強に目の色変えた阿部巨人が狙うソフトバンク「Cランク」右腕の名前

  2. 7

    大谷翔平は来季副収入100億円ガッポリ、ド軍もホクホク! 悲願の世界一で証明した圧倒的経済効果

  3. 8

    橋本環奈《山本舞香と友達の意味がわかった》 大御所芸人に指摘されていたヤンキー的素地

  4. 9

    番長・三浦監督の正体《サラリーマン、公務員の鑑のような人格》…阪神FA移籍せず残留の真意、堅実かつ誠実

  5. 10

    カトパン夫の2代目社長は令和の“買収王”? 食品スーパー「ロピア」の強みと盲点