報徳学園・大角監督が語る ベテラン監督の後を継いだ心境
――具体的には。
「僕が朝6時に学校に出勤すると、グラウンドから声が聞こえてくる。『こんな早朝に何やってんだろう?』と目を向けると、子供たちが自主的にランニングをやっているんです。お昼休みの練習も始め出して、曜日を決めて学校内外の清掃までするようになった。全部、自主的にやっているんです」
――大きな変化ですね。
「でも、春の大会は逆に気持ちがプラスになり過ぎるあまり、空回りしてしまったんです。あれほど春に懸ける思いが強かった年は見たことがなかったほど。負けた後はみんな、号泣でした。『どうして勝てないんや!』と泣きながら叫んだ子もいた。だからこそ、勝たせてあげたかったんですが、間違いなく彼らは精神的に強くなった。これでようやく、土台ができた、と思いました」
――子供の成長には、我々大人が驚かされる。
「そこからはもう、練習試合では勝ちっ放しです。ただ、大会では負けていましたので、そこだけは心配でしたが、それも杞憂に終わった。夏の県大会では春に負けた滝川二と同じブロックに入ったのも、リベンジという意味でよかったのかもしれません」