池谷幸雄氏が激白 “女帝”塚原本部長が集めた疑惑のカネ
■選手から飛行機代を徴収
――体操は他競技に比べると予算が多い。
「五輪でメダルが取れる競技なので、JOCからそれだけの強化費が下りています。でも、海外遠征の際の飛行機代など、選手は一定の費用を徴収されることがある。(リオ五輪代表の)村上(茉愛)選手の場合、世界選手権へ行くとき、4万円徴収されていました。資金の少ない競技団体なら分かるけど……。僕もソウル五輪に行ったときは(協会から)『7万5000円徴収する』と言われた。メダルを取ったら『いらない』と言われましたけど(笑い)」
――20年の東京五輪を前に、スポーツ団体に不祥事が相次いでいる。レスリング、ボクシング、日大アメフト部の問題も、共通点は、権力がひとりに集中したこと。その土壌は、独特な閉鎖性か。
「内部で全部の物事が決まり、第三者が入ることが全くない。内部の中でも、ある特定の人間しか知らないので、超閉鎖的です。僕ら体操関係者でも、体操協会の見えない部分がたくさんある。普通の人に見えるわけがないですよ。だから40年近くも続いてしまっていると思います。アマチュアスポーツ特有の体質がある。昔からアマチュアスポーツというのは、『国から予算をもらい、それをどう使っていくか』ということしかやってこなかった。いろんな部分で収入を得てコーチや選手に還元したり、いい環境をつくってあげられるのに、と思うけど、上の人はもらうことが当たり前。(お金を)生み出すんじゃなく、もらって使う。そういう人が多い。あとは、事なかれ主義。何か新しいことを始めようと思っても、もし問題になったら、自分の責任になるからやめてくれ、と。自分の名誉や地位を保全するという立場の人がほとんどなんです」
――東京五輪に向けて、今後も不祥事が出てきそうだ。
「どこの協会でも、多かれ少なかれあると思う。組織の中で特定の人間が権力を持ちすぎている。こういう問題が発覚したことがきっかけで、いい方向に向かってほしい。いい転換期、良くなるチャンスを宮川選手が選手生命をかけてやってくれた。これがなかったらずっとそのまま続いていたわけですから。五輪が東京に来てくれたからこそ、こういうことをみんなに分かってもらえた。中身が露呈されないと変えられないというのは情けないですけどね」
――池谷さんは今回の騒動でテレビに出ずっぱり。止めようとする圧力もあったと聞く。
「僕は正しいことをしているつもりだし、真実を語っているつもりなのでやめる気はない。命に代えても絶対にやり通さないといけない僕の使命だと思っています。圧力をかけられることはあるけど、そんなのには屈しないですし、(圧力が)あればあったで、それをお話しすれば分かりやすいなと。これをするために芸能界に入ったのかなとも思います。これまで抑え込まれたり、泣き寝入りしていた人たちをたくさん知っている。その人たちを代表して、できる限りのことをしたい」
(聞き手=中西悠子/日刊ゲンダイ)