伊東蒼が「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」で演じた暗がりの中の告白は、日本映画史に残る名シーンだ
文句なしに天才、と呼べる女優がいる。それが現在19歳の伊東蒼だ。彼女の最新作「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」が4月25日に公開される。
同作はお笑い芸人ジャルジャルの福徳秀介が書いた同名小説を、大九明子監督が映画化した青春映画。さえない大学生活を送る小西徹(萩原利久)は、ひょんなことから同じ大学に通う桜田花(河合優実)と知り合い、感性が近い2人はたちまち仲良くなる。幸せな日々を送る小西だが、銭湯でバイトしている仲間のさっちゃん(伊東蒼)は、彼のことを秘かに思っていた。やがて桜田と連絡が取れなくなり、小西は思いもよらない人生の痛みを知っていく。
主演は萩原と河合の2人。前半はどこか茫洋とした小西と、孤独でもひるまない桜田が心の距離を縮めていくさまを描いた、青春映画の王道を行く展開。何事にも強い関心を持たない小西は、桜田に言われた本を読んだり、彼女に「テレビの音量を最大限まで上げたことがある?」と言われて、実際にトライしてみる。小西にとって桜田の影響は絶大なのだ。対してバンド活動をしているさっちゃんから「(スピッツの)『初恋クレイジー』を一度聴いてみて」と再三言われるが、小西は生返事をして、結局この名曲を聴くことはない。恋人とバイト仲間に対する、彼の興味の違いがよく出ている。