横綱白鵬ただ1人全勝ターンも “懸賞ぶん回し”は不安の表れ
横綱白鵬(34)は難敵を下したとき、懸賞をわしづかみにした右腕を「どうだ!」と言わんばかりに大きく振る。つまり、それが多い今場所は苦戦続きということだ。
17日は栃煌山にいなされて不利な体勢になり、一気に寄り切られるか――と思われた。しかし、土壇場で逆襲の小手投げを放ち、紙一重で勝利。勝ち名乗りを受け、懸賞を受け取った右手をぶんと振った。
先場所も10連勝中は薄氷を踏むがごとき相撲が多かった。それだけ衰えが顕著なのだろう。
ある親方は「相手の雑な攻めもある」と、こう続ける。
「全盛期の白鵬には何もできないまま負けていたのが、今はあっさりと有利な体勢にもっていける。拍子抜けすると同時に『ここを逃せばチャンスはない』と焦ってしまうのだろう。立ち合いの圧力は落ちても、白鵬の技術は健在。つまり、雑な攻めで墓穴を掘っている。さらに白鵬は運動神経も抜群。この日も栃煌山に後ろを取られそうになるや、素早く回転した。あの反応の良さは稽古で身に付くものではなく、天性でしょうね」
もっとも、先場所も10連勝から3連敗して休場したように、体力面には不安が残る。ギリギリの勝利ばかりでは、集中力だって続くかどうか。
8日目終了時点で無敗キープは白鵬ひとりだが、賜杯争いはまだまだ予断を許さない。