ソフトBを9回1安打零封 オリ山本が貫く“やり投げ投法”秘話
高卒3年目の20歳にしては肝が据わっている。
3日のソフトバンク戦に先発、強力打線を九回まで1安打無失点に抑えたオリックスの山本由伸のことだ。犠打のミスや走者のボーンヘッドなど、自軍の再三の拙攻がなければ今季初勝利を手にしてもおかしくない投球内容だった。
山本は都城(宮崎)から2016年のドラフト4位で入団した右腕。150キロ超の速球を武器に1年目から5試合に先発するも、2年目の昨年はチーム事情からセットアッパーに。54試合に登板して32ホールド、防御率2.89の好成績を残し、800万円だった年俸は4000万円にハネ上がった。
オフに先発への再転向を直訴して今季を迎えた山本が現在、取り組んでいるのが「やり投げ投法」だという。放送関係者がこう言った。
「2年目のオフから個人トレーナーの助言に従って、やり投げを参考にしたフォームに取り組んでいます。グラウンドではボールでなく、やりのような長い棒を繰り返し投げている。試行錯誤はいまも続いているそうです。本人によれば、疲れにくく、肘に負担のかからない投げ方だとか。腕の出どころが見づらいので、打者はタイミングを取りにくいという利点もあるそうです。けれどもフォームが独特。振り下ろす腕が頭からかなり離れた位置を通過するため首脳陣からはフォームを元に戻すようレクチャーされたのですが、自分のやり方でやらせてくださいとハネつけた。普段は物静かなヤツですが、先発への再転向を直訴したり、やり投げ投法にこだわったりと芯は強いですね」
あくまでも自分のやり方でやらせて欲しい。その代わり、結果が出なかったときの責任は自分が取る。山本はそう腹をくくっているのだ。
オフにエース格の金子と西が退団したオリックスに、楽しみな若手が出てきたのは間違いない。