著者のコラム一覧
山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

ダルビッシュに論破された“後期高齢者”の張本さんがツライ

公開日: 更新日:

 だけど、私はちっとも痛快な気持ちになれないでいる。「ダル、よく言った!」ではなく、「あーあ、ついにガチで言っちゃったかあ」といった苦渋の残る心境だ。正直、今の張本さん(ここからあえて敬称を付ける)は球界の制度改革などに影響力がある存在ではなく、週に1回高齢者向けのテレビ番組をにぎわす隠居した頑固者のおじいちゃんでしかないのだから、ここまでコテンパンにやっつけなくてもいいんじゃないか、という思いがある。ダルビッシュはアスリートだから、どんな相手にも常にガチなのかもしれないが、さすがに79歳の後期高齢者にまでそんな真っ向勝負の正論を仕掛けなくても……。

 なにしろ、張本さんは1940年生まれ、戦後の苦しい時代を貧困や差別と闘いながら必死で生き抜いて、死屍累々の上にプロ野球で大きな成功をつかんだ人だ。だから自分が信じて、かつ貫き通してきた根性野球を79歳にもなって否定するわけにはいかないだろう。もうあと何年生きられるかわからないのだ。そんな人生の晩年にいる人間が、過去の栄光に浸りながら自分の価値観を守りたいと思うことを私は簡単に批判できない。そっとしておいてあげたい。

 だけど、そんな79歳のおじいちゃんも、このたび米国の舞台で活躍する30代の血気盛んな維新志士によって激しく非難された。もちろん、その志士はまちがっていない。ただ単におじいちゃんの心を思うとつらいだけだ。時代に合わなくなった後期高齢者の思いに寄り添いたいだけだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  2. 2

    大阪・関西万博の前売り券が売れないのも当然か?「個人情報規約」の放置が異常すぎる

  3. 3

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  4. 4

    ヤクルト茂木栄五郎 楽天時代、石井監督に「何で俺を使わないんだ!」と腹が立ったことは?

  5. 5

    バンテリンドームの"ホームランテラス"設置決定! 中日野手以上にスカウト陣が大喜びするワケ

  1. 6

    菜々緒&中村アン“稼ぎ頭”2人の明暗…移籍後に出演の「無能の鷹」「おむすび」で賛否

  2. 7

    巨人「先発6番目」争いが若手5人で熾烈!抜け出すのは恐らく…“魔改造コーチ”も太鼓判

  3. 8

    ソフトバンク城島健司CBO「CBOってどんな仕事?」「コーディネーターってどんな役割?」

  4. 9

    テレビでは流れないが…埼玉県八潮市陥没事故 74歳ドライバーの日常と素顔と家庭

  5. 10

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ