著者のコラム一覧
元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

試合は苦戦も…南野がキルギスに残したインパクトは大きい

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「日本戦はキルギスにとってはワールドカップくらいの位置づけ。物凄いモチベーションで向かってくる」。原口元気(ハノーファー)の言葉が示す通り、14日の2022年カタールW杯アジア2次予選・キルギス戦(ビシュケク)での地元サポーターの熱気は凄まじいものがあった。異様な雰囲気と劣悪ピッチに悩まされ、森保日本は大苦戦を強いられたが、最終的には2-0で勝利。2次予選4連勝で2019年を終えることになった。

 試合当日、キルギス国立競技場周辺は朝から物々しい空気に包まれた。キルギス人は日頃温厚だが、2005年のチューリップ革命と2010年のキルギス騒乱に象徴されるように、感情がほとばしると想定外の行動を取ることがあるという。

 同国政府とサッカー協会が万が一の事態を想定したのか、過剰なほど警備体制を強化し、現場には数えきれないくらいの警察官を動員した。

 とはいえ、開始2時間前まではノーチェックで会場に入れたし、特に呼び止められることもなかった。厳格になり過ぎず、どこか緩さも残しているのが、キルギス人らしい部分なのなのかもしれない。

 試合前の会場ではさまざまな催しがあり、遊牧民が暮らすユルタ(テント)も展示されていた。美しい民族衣装を来た美女たちが案内してくれ、ボルソック(揚げパン)やショロ(飲み物)などを振舞ってくれた。こういう趣向は外国人にとっては興味深くも有難い。来年の東京五輪でも取り入れたら世界各国の観客も喜ぶのではないだろうか。

 そうこうしているうちにメンバー表が配られ、日本は中島翔哉(ポルト)ではなく、原口が先発入りした。「新ユニフォームお披露目試合に(使用スパイクが)アディダスからミズノに移ったばかりの中島は使えなかったのではないか?」などという憶測も飛び交ったが、森保一監督は相手キルギスが日本の左サイドを狙ってくるのを想定。守備力の高い原口を起用したのだった。

 案の定、キルギスの主将・キチンの右への展開から長友佑都(ガラタサライ)が1対1にさらされてピンチを迎えることが何度もあり、日本は嫌なムードになりかけた。

 前半は明らかに相手ペース。守護神・権田修一(ポルティモネンセ)の好セーブがなければ失点していてもおかしくなかった。

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