著者のコラム一覧
織田淳太郎スポーツライター

1957年生まれ、北海道出身。スポーツライターとしてノンフィクション、小説の両分野で幅広く活躍。審判を主人公にした小説「ジャッジメント」のほか、「トレーナー」「捕手論」「コーチ論」「巨人軍に葬られた男たち」「もう一度あるきたい」「論争・長嶋茂雄」などの著書がある。

パ・リーグのDH制導入のきっかけになった米国人記者の指摘

公開日: 更新日:

「それでも、プロ入りしたときの目標が1試合で4打席立つことだったから、今度はそれを全うしようと思った。代打でのホームランのこだわりは捨てたね。それにしても、指名打者は楽やなあと思ったよ(笑い)。1打席目で失敗しても、残りの3打席のなかで結果を残せばよかったわけやから」

 高井さんは指名打者としても本塁打を量産した。78年から2年連続で打率3割超えも記録したが、80年シーズンを迎えると、なぜか指名打者から外され、元の代打要員に戻された。

「さすがに、カチンときた」

 しかし、すぐに気持ちを切り替えた。

「それじゃ代打本塁打数の記録をまた伸ばすか」

■「おまえら、もうええぞ」

 目標を自分の背番号「25」超えに設定した。81年5月の西武戦で、26本目の代打本塁打をマークして、目標をあっさりとクリアした。それから4カ月後の同年9月3日の西武戦。試合は2―2のまま九回裏の阪急の攻撃に移ろうとしていた。ベンチ裏では高井さんも含めて3人の代打要員が出番を待っていた。最初に声がかかった高井さんは、残った2人の代打要員に「おまえたち、もうええぞ。帰る支度をしてバスにでも乗っとけや」。

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