コミッショナーが人種差別反対運動を静観する米球界の危機
■トランプ政権の意向を尊重
一方、大リーグではコミッショナーのロブ・マンフレッドが立場を鮮明にしていない。
大リーグに占めるアフリカ系アメリカ人の割合は選手だけでなく観客数でも年々低下している。アフリカ系アメリカ人の代わりに勢力を伸ばしているのが中南米の選手であり、客席に増えるのは購買力のある白人の中高年の姿だ。
どちらかといえば消極的とも見えるマンフレッドの様子は、事態に深く関与すると白人の観客の中の保守層の反感を買ったり、球団の経営幹部にアフリカ系アメリカ人が少ないことや中南米の選手と低額の年俸で長期間の契約を結んでいることを問題視されかねないと懸念しているかのようだ。
だが、ヤンキースのアーロン・ジャッジ、ジャンカルロ・スタントン、ドジャースのクレイトン・カーショーやデビッド・プライスら球界を代表する選手たちが「差別反対」を明言するなど、球界全体が問題を避けているわけではない。
「今こそ人種にまつわる憎悪を終わらせる時だ」と指摘したマーリンズの最高経営責任者デレク・ジーターの発言も注目を集めている。