著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

変化の遅い政界と比べても消極的な大リーグの「女性進出」

公開日: 更新日:

 米民主党は、8月17日から4日間開催された党の全国大会で、前副大統領のジョー・バイデンと上院議員のカマラ・ハリスを正副大統領候補に指名した。

 2008年、民主党大統領候補だったバラク・オバマから副大統領候補に指名された際、バイデンは「オバマ氏は外交に不慣れだから、私が面倒を見よう」という趣旨の発言を行っている。

 発言だけを見れば横柄と思われるかもしれない。だが、米国の大統領選挙において、副大統領候補の最大の役割は大統領候補の欠点を補うという点にある。そのため上院議員を1期務めただけで中央政界での経験が不足していたオバマを、上院外交委員長を務めたバイデンが補佐するというのは理想的な形だった。

 今回、ハリスを副大統領候補としたことは、77歳と高齢で党中道右派というバイデンの弱点を補う。すなわちハリスは55歳と若く、進歩派であり、ジャマイカからの移民である父とインド人の母を持ち、民主党が重視する多様性を象徴している。しかも、女性としては史上3人目の副大統領候補となり、話題性も十分である。

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