照ノ富士が朝乃山撃破も…“特例なし”大関復帰はイバラの道
全盛期を彷彿させる、豪快な投げを決めた。
9日、結びの一番で元大関照ノ富士(28)が、大関朝乃山を撃破した。
この2人、いずれも右四つを得意とする力士。相四つのぶつかり合いはしかし、立ち合いで決着がついた。照ノ富士は下から素早く左上手をとると、即座に右差し。盤石の体勢で攻め、朝乃山を上手投げで土俵に叩きつけた。
インタビューでは「前向きに、ここから3場所が大事」と話した照ノ富士。インタビュアーにその真意を聞かれると、
「元の地位に戻ってみたいなと。毎日、できることをやっていますんで、(稽古を)信じて土俵に上がっているだけです」
と答えた。
かつては「横綱に最も近い大関」と評価されていたが、右ヒザ前十字靱帯断裂の大ケガに続いて、左ヒザも痛めて陥落。一時は序二段にまで落ちるなど、もがき苦しんだ。そこから今場所の小結まで上がったものの、大関復帰のハードルは高い。
大関は陥落した直後の場所なら、10勝で元の地位に戻れる「特例」がある。貴景勝もこの制度を利用して復帰を果たしたひとりだ。しかし、10勝できなければ復帰手段は通常通り。「三役で3場所33勝」の目安をクリアするしかない。過去、大関特例を利用せずに元の地位に返り咲いたのは、魁傑ただひとりだ。